薄曇りのなか、気温23.5度、湿度70%という気象条件のもと、第1回目の東京レガシーハーフマラソンは午前8時00分、車いすレースの部からスタートしました。
男子は、世界記録(38分32秒)保持者の鈴木朋樹が42分19秒で走りぬき、初代王者に輝きました。スタートから先頭に立ち、7㎞手前で追走していた渡辺勝も振り切り、一人旅でレースを進め、2位に入った渡辺に3分41秒差をつける圧巻の走りで、力強く右手を高く挙げてのフィニッシュとなりました。
雨中のレースで7位に終わった昨夏の東京パラリンピックの前半部分と重なるコースで、1年前の悔しさを払拭するような走りを見せ、「この大会は次につなげていくレースとして位置付けていました。沿道や一般ランナーからの応援もあり、温かい大会でした。自分のコンディションもよく、来年(5月)のパリの世界選手権に向けてもいいスタートが切れました」と充実のレースを振り返りました。
来月に出場予定の大分国際車いすマラソンでの海外勢との勝負に向け、日本人選手のみの参加となった今大会では、「一人で(ペースを刻み)ぶっちぎりで勝たないと大分で結果が残せないと思っていました」という鈴木。狙い通りの走りで手ごたえをつかみ、さらなる飛躍が期待されます。
2位の渡辺は海外メジャーズ3連戦後に帰国して臨んだレースだったと言い、2位にも、「力がついていることを実感できました。7㎞手前から鈴木選手には逃げられましたが、(海外の)連戦前にいい走り込みができていたので、(後半失速せずに)しっかり耐えきれたことが収穫」と話し、「一般ランナーからの応援があり、最後のきつい上り坂でも力をもらえました」と感謝していました。
車いす女子は日本記録(48分46秒)保持者の土田和歌子が50分01秒で、初優勝を果たしました。スタートから喜納翼との並走が続きましたが、事前に「勝負のポイント」として挙げていた終盤の上り坂で、少し遅れた喜納を突き放し、20秒差をつけて勝ち切りました。
「私はどちらかといえば、上り基調を好むので、登りの難所で仕掛けられるかなという思いはありました。新記録には至りませんでしたが、喜納選手の力も加わってハイペースのレース展開になってよかったです。東京パラリンピックのコースに戻ってきて、(二人で)競い合える喜びを感じられるレースでした」と手ごたえを口にしました。
高速走行となる車いすレースでは向かい風を受けてペースが鈍ることを避けるため、「ローテーション」という走行術がよく見られます。これは少人数で集団を組み、先頭交代しながら走り、ペースを維持する走行術です。
土田は、「喜納選手はハイペースで走ることを得意とする選手なので、ハイペースの展開が組めます。お互いに持ち味を生かすことは強みになると思います」と、「チーム・ジャパン」としての戦い方に期待を寄せていました。
敗れた喜納は、「上りが苦手なので、その差。(土田選手は)別物の走りという感覚でした」と敗因を挙げましたが、やはり、「二人で競り合い、ローテーションができるのはレース的に大きいし、ありがたい存在」と身近によきライバルがいることのメリットを口にしました。また、「私も上り坂のあるコースでも負けない強さを身に着けたいです」と先輩との切磋琢磨による進化も誓っていました。
初めての東京レガシーハーフマラソンを終え、車いすランナーたちは、「すれ違う一般ランナーからの拍手が温かく、楽しく、力をもらって走れました」といった感想を話していました。パラアスリートと一般ランナーがエールを送り合う――レガシー大会を象徴する光景がコース上には広がっていたようです。