2回目の開催となった東京レガシーハーフマラソン2023は雨、気温14.5度というあいにくの天候のなか、午前7時45分に車いすレースの部からスタートしました。
今年はMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)と併催のため、車いすレースのコースは昨年とは異なる国立競技場スタート、神保町フィニッシュという特設コースで行われました。
8人がスタートした車いす男子の部は前回覇者の鈴木朋樹(トヨタ自動車)が43分40秒で連覇を果たしました。スタート直後から先頭に立ち、一人旅でレースを進め、2位に入った渡辺勝(TOPPAN)に4分以上の差をつける圧勝で、フィニッシュでは両手をかかげてテープを切りました。
「世界記録(38分32秒)を切ることを目標としていましたが、この雨でタイムが伸ばせませんでした。晴れていたら、世界記録越えも狙えていたようなコースだったと思うので、そこは悔しいところです。スタートから淡々と自分のペースで突き進みました。最初の上りはきつかったが、下りに入ってからペースを上げていきました」とレースを振り返りました。
レーサー(競技用車いす)は手に着けたグローブでタイヤ横のリング(ハンドリム)をたたくようにして漕ぎますが、雨の場合は滑りやすくなるため、選手はさまざまな対策をして臨みます。一般的には松脂をグローブに塗って滑りにくくしますが、鈴木選手はハンドリムをゴム製から金属製に替えて、ゴム製のグローブが削れることで摩擦力を高めるような対策を取っていたと言います。
もともと雨天のレースを苦手としてきた鈴木ですが、「雨対策がしっかりできるものに巡り合えた」と振り返り、また最近、新調したというレーサーについても、「ペースの維持がしやすく、走りやすい」と手応えを語り、これからのマラソンシーズンに向けて、さらなる進化を誓っていました
なお、2位には渡辺勝(TOPPAN)が47秒59で、3位には西田宗城(バカラパシフィック)が48分フラットで入っています。
■喜納が初優勝
4選手が出場した車いすの部女子は、前回優勝の土田和歌子(ウィルレイズ)と同2位の喜納翼(琉球スポーツサポート)がスタートから終始並走する展開になりました。二人とも52分45秒でフィニッシュしましたが、わずかに前に出ていた喜納が初優勝を果たしました。
雨天のレースで視界は悪く、水たまりにも苦労したようですが、喜納は「もう少しタイムを出したかったという思いはある」と振り返り、初優勝については、「気持ち的に(土田に)勝ったというよりは、」一緒に乗り越えたというレースになりました。次のレースでまた、挑みたいと思います」と意気込んでいました。
土田は、「もう少し積極的に行きたかったですが、久しぶりの雨のレースで難しかったです。スピードのある喜納選手と一緒に走らせてもらえることでクリアできたこともありました」と厳しいレースのなかからつかんだものもあったようです。
さらに、「この雨のなか、朝早くから大勢の方に沿道から声援していただけて、本当にありがたく思いました」と感謝していました。
副島正純車いすレースディレクターは、「今年の車いすコースは下り基調でタイムが狙いやすいコースでしたが、雨もあってタイムが狙えなかったのは残念。選手たちも悔しい思いだったと思います」と振り返り、来年は従来のコースに戻りますが、「来年以降も、好タイムを目指してほしいと思います」と話しました。
レーサーならではのスピード感や迫力あるレースを来年もどうぞご期待ください。