ハーフマラソンスタート時の天候は雨、気温18.2℃、湿度57.5%。少し風はあったものの、東京レガシーハーフマラソン2024はまずまずの気象条件下での開催となりました。
エリート男子はアモス・クルガト(ケニア・中電工)が59分52秒で優勝。第1回大会優勝者のヴィンセント・キプケモイ(ケニア)が持つ1時間00分10秒の大会記録を18秒上回る、圧巻の大会新記録で東京の街を駆け抜けました。「きょうのレースは良かった。風が気になったけど、結果としては満足しています。」と笑顔を浮かべました。
スタート直後から、ビダン・カロキ(ケニア・トヨタ自動車)がハイペースで引っ張り、先頭集団は最初の5kmを14分06秒で通過。クルガトはその直後に一気にペースアップし、集団から飛び出しました。5km~10kmを13分42秒で走り、後続を引き離します。ここからは一人旅となり、15km通過時点では2位のカロキに50秒差をつけ、大きくリードしました。上り坂となる17km付近から少しペースを落としましたが、国立競技場に入ると大きなストライドで颯爽とフィニッシュ。大会新記録となり、「とてもとても良かった。」と充実感をにじませました。先月のコペンハーゲンハーフで58分47秒の自己記録をマークしており、あらためて実力を発揮しました。
最後まで安定した走りだったカロキが1時間00分38秒で2位、ポール・クイラ(ケニア・JR東日本)が1時間00分49秒で3位でした。
日本勢のトップは、西山雄介(トヨタ自動車)が1時間01分13秒で8位。序盤からハイペースのケニア勢に食らいつき、果敢な走りをみせました。目標だった1時間02分を切り、「しっかり体が動いたし、思った以上に走れた。やってきたことは間違いではなかった。」と現状の力を出し切り、納得の表情で語りました。次の大きな目標は、東京2025世界陸上のマラソン日本代表。同じ東京のコースを疾走し、「弾みがついたと思う。」と来年の勇姿を思い描いていました。
エリート女子は、初来日のロイス・チェムヌング(ケニア)が序盤からハイペースを刻み、1時間07分27秒で制しました。男子に続き、女子も大会新記録での決着となり、「コースレコードを更新できたことを嬉しく思います。このコースはパーフェクト。」と東京の雰囲気を存分に味わいました。
チェムヌングはスタートから勢いよく飛び出し、最初の5kmを15分47秒で通過。この時点で2位のヒシグサイハン・ガルバドラフ(モンゴル)に1分00秒の差をつけ、独走態勢に入ります。後続との差をさらに広げていき、2位に4分以上の差をつける圧勝でした。
日本勢のトップは、清田真央(スズキ)が1時間11分29秒で2位に入りました。「第1回大会が4位だったので、悔しい思いをした。タイムでは目標に達しなかったけど、最低限の目標にしていた表彰台に上がれてよかった。」と振り返りました。
パリ2024オリンピックのマラソンでモンゴル代表のガルバドラフは後半にペースを落とし、1時間12分12秒の3位でした。
大嶋康弘レースディレクターは「男子は日本在住のケニア選手がリードし、クルガト選手が抜け出してコースレコードで優勝してくれた。風が若干あったし、後半は上り坂の影響はあるが、60分を切るコースレコードが出た。東京でもこれから記録を狙う選手に出ていただけるのではないか。」と総括した。女子についても「チェムヌング選手に東京を気に入っていただいた。コースも走りやすいとあって、来年もチャンレンジしたいと言ってくれた。ご本人の記録からすると物足りないかもしれないが、(大会)記録が更新された。」と男女ともに大会新記録での優勝を評価しました。
スタート時には雨が降っていましたが、フィニッシュ時には晴れ間がのぞき、選手はレース後、笑顔を見せました。東京レガシーハーフマラソン2024で、誰もが走る楽しさと喜びをかみしめていました。



