第3回目を迎えた東京レガシーハーフマラソン2024は雨、気温18.9度、湿度52.7%という気象条件のなか、午前8時に車いすレースの部からスタートしました。
T53/T54(車いす)男子は12選手が出場し、パリ2024パラリンピック男子マラソン(T53/T54)銅メダルの鈴木朋樹(トヨタ自動車)が43分57秒で大会3連覇を達成しました。号砲から先頭に立ち、約8km地点で単独トップに立つと、リードを保ったまま2位に2分以上の差をつける快走でフィニッシュしました。「大会記録(42分19秒)を塗り替えられず残念だが、スタートから気持ちよく、東京2020大会のレガシーを感じながら、最後まで走り切ることができた。沿道の応援も素晴らしく、また、一般ランナーからもすれ違う時に拍手や声援をいただき、温かい気持ちになれた大会だった」とレースを振り返りました。
鈴木は自身初の銅メダルを獲得したパリ2024パラリンピックからまだ約1カ月半ですが、1週間前にはシカゴマラソンに出走し3位に入る好調さで、この先もマラソン3大会にエントリーしているそうです。精力的なレース出場について、「(パラリンピック)メダリストになったからこそ、注目されると思う。積極的にレースに出ることで、車いすに乗っている子どもたちの目にも触れると思うし、陸上に限らずスポーツを始めるきっかけになれば」と、次世代にスポーツの力をつないでいくことへの思いを口にしました。
2位には初出場の岸澤宏樹(日立ソリューションズ)が46分01秒で入りました。「パラリンピックメダリストの鈴木選手をマークして、どこまでついていけるかチャレンジした。風も強く、雨も気になり、10km手前で離されたので、まだまだ」と悔しさをにじませつつ、今後の成長を誓っていました。
3位は47分20秒で吉田竜太(SUS)でした。8位入賞のパリ2024パラリンピック以降、少し長めの休養を取ったと言い、「あまり練習できていない中ではよく走れたと思う」と手応えを語るとともに、世界への再挑戦を見据え、「ウエイトトレーニングで体づくりに努めたい」と話しました。
女子は、パリ2024パラリンピック女子マラソン(T53/T54)6位入賞の土田和歌子(ウィルレイズ)が53分43秒で第1回大会以来、2度目の優勝を果たしました。2位は55分49秒で喜納翼(琉球スポーツサポート)、3位は1時間51秒で瀧村和美(日本オラクル)でした。
土田は、「パリ2024パラリンピック以来のレースだったが、体の状態も良かったので、いい走りができたらと思いながらスタートした。想像していた天気とは違い、スタート直後に雨が降り出し、風も強かったが、路面状態もよく、気持ちよく走り切れた。タイムには満足していないが、普段は走れない東京の街を走れる喜びを感じながら、沿道の声援も力に走り切れた」と笑顔で話しました。
喜納は、「スタートは悪くなかったが、最初の緩い下りでスピードが乗らず、土田さんにじわじわ離されてしまった。少し悔しいが、一般ランナーからの応援も多く、沿道から名前を呼んでくださる人もいて、改めて走る楽しさを感じられたレースだった」と振り返りました。
土田も喜納もパラリンピック挑戦はパリ2024パラリンピックで一区切りと言いますが、「日本の女子選手は少ないのが現状なので、1人でも増やしていきたい」と口を揃え、自らが走ることで、「車いすレースの楽しさを伝えたい」と今後も国内のレースなどには出場の意向を示しました。
副島正純車いすレースディレクターは、「雨や風もあってタイムは出なかったが、無事にレースが終了できてよかった。男子は予想通り、勢いのある鈴木が逃げ切ったが、8kmまで鈴木に絡んだ岸澤や、パラリンピック初出場で自信をつけた吉田が今後さらに、世界で活躍してくれることを楽しみにしている」と総括。一方、出場が3名のみだった女子については選手人口を増やすためにも、「競技の魅力を選手たちとともに積極的に発信していきたい」と話しました。

